【このサイトについて】

 多摩川河川敷…といっても、普通に通勤や散歩で歩いている範囲で、みかける植物の写真を残してみました。どんな子なのか、名前の由来は何だったのか、素人なりに調べていたらかなりの数になってしまったのでアーカイブ化しようと何気なくはじめたサイトです。素人ゆえに間違っているところも多々あると思います。この記録を見て、あ、こんな名前の子だったのか!とちょっと立ち止まってみてくださるようになると嬉しいです。
 画像やマニフェストについては、デジタルアーキビストの勉強をしてるときに学んだ、1枚画像でのmiradorを使ったIIIF仕様にて作成しました。
 普段何気なくみている、名前も知られていない植物たちが、世界規模でつながることができたら幸いです。

【記録のきっかけについて】

仕事行くの嫌だなぁ⋯
満員電車、嫌だなぁ⋯

私は怠け者でダラダラしてたい人間です。
別に人付き合いが下手ではなくて、なんとか上手くかわせるし、仕事も普通にできるからイジメもない。よくいる普通のあれですね、モブ。
誰かのヒーロー物語の中の、お辞儀だけ繰り返してるような、ただのNPCなのかも。
上手くやり過ごせても、煩わしい人間関係は面倒だし、仕事のプレッシャーは逃げたい。

何より。
満員電車でぎゅうぎゅう押されるのが、どうにもツライ。
後ろから押されて隣の人を仕方なく奥に押すんだけど、押した人に睨まれる。
人身事故で電車が遅れまくった電車の中で、呼吸も苦しい時には、自分も線路に飛び込んでやろうかと本気で思ってしまう。
満員電車に、仕方なく覚悟を決めて前の人を押しながら乗り込んだら、乗った瞬間に、若い男の子にドアからつきとばされてホームに転がった記憶もある。
⋯結構、通勤も命懸け。

毎日嫌だなぁ、早く楽になりたいって、思ってました。

嫌なのはもう仕方ない。
食べて行くのに仕方ないじゃん⋯。
⋯でもせめて⋯

そうだ、朝、寄り道をしていこう。
そう思って、一つ駅歩いて、多摩川沿いを散歩しながら駅に向かうことにしてみました。

多摩川。
空が広い。
180度、視界が空かも。
深呼吸。

ん?カモが芝生にいる!距離ちかっ!
捕まえられるかも?
川の中州にはシラサギが5⋯7⋯11!?どんだけいるねん!?
なんかめっちゃ魚飛び跳ねてるよ!?そんなに飛び跳ねてサギに食べられない!?
いや、そもそもなんで魚跳ぶの!?
田舎の山の方と違って、綺麗とは言い難いけど、なんかいっぱい草生えてるし。

あ~気持ちいいかも♪

そんな中、ふと見つけた花が、気になって、なんて言う花かな?とたまたま画像検索してみたんですね。
5月だったかな。

検索で出てきた花は「ミゾコウジュ」。

ん?聞いたことない。
なになに⋯え?準絶滅危惧 ?
日本各県で絶滅危惧種に指定されてる?
ってか、そんなレッドデータの植物、ここにあっていいの!?
容赦なく除草車でガリガリ草刈りされてるやん!(笑)

ちょっと衝撃でした。
足元にある雑草の一つが、ある朝突然、知り合いになったみたいでした。

それからなんとなく、その周辺の植物をも、
毎朝画像検索して、その範囲広げて行って、一つずつ名前覚えていったんです。

チガヤ⋯あーイネ科って茅の字つくのか〜
キュウリグサ⋯ほんとにキュウリくさいのかな?
ヘラオオバコ⋯天使の輪♪
カラスムギ、ドクムギ、ホソムギ、ネズミムギ⋯どんだけムギあるん?
ハルシャギグ⋯部屋に飾りたいけど花粉すごそう。
ヒルザキツキミソウ⋯ピンクめっちゃ可愛い!
バカナス⋯バカって名前酷くない!?
ユウゲショウ⋯夕方お化粧するなんて、女子力高い!

⋯ひたすら毎日。(笑)
よく飽きなかったですよね。(笑)

ヒガンバナが彼岸の季節を知らせ、
マルバルコウソウが夏の終わりを告げ、
セイバンモロコシが晩秋の川沿いを一斉占拠して、
霜をかぶった振りをしたビロードモウズイカがクリスマスが来ることを告げてはいつの間にかいなくなり。

ガッチリ地面に根を張って、最後までほんとに頑張ってたチカラシバが、ついに刈られて。

地面が凍って。
………

気づいたら、ぽつんと一人残されてました。

その時になって、ようやく多摩川ぞいの植物たちが「雑草」というひとくくりの名前ではなかったことに気づいたんです。

1年間、どれだけ名前を覚えただろう。
どれだけの植物と顔を合わせただろう。

次から次に、季節の移り変わりによって、花をつけては実を落とし、根を張り、次の別の植物に場所を渡し、そうして小さな栄枯盛衰を繰り返し、皆冬には地面で眠る。

その一つ一つに名前があったということ。

「”雑草”という草はない」
誰が言ったんだっけ?
そうだ、牧野富太郎博士。
それぞれの名前と生命を持った草花が、それぞれに戦略を張り巡らし、枯れるまで足元で生きていました。

「多摩川すごいな〜」

冬。
植物たちが寝静まった一人の道を歩きながら、薄氷を踏み、ふと思いました。

そういえばあんなに、あんなにたくさんたくさん、画像検索したのに、あの子たちの写真を1枚も残してなかったな⋯。
春になったら今度こそ写真に残そう⋯そう心に思いました。

⋯これはその記録です。


  by Luku

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